マス視点からニッチ視点へ。高級シャンプー・リンス市場の成長から読み解く商品開発の新潮流。

みなさんこんにちは、生活者と小売の未来研究会の和田康彦です。


生活必需品のひとつ、シャンプー・リンス市場は、人口減を背景に長期的には市場は縮小傾向にあります。


一方、総務省の家計調査によると、日本の一世帯あたりの平均消費額は2000年以降一割減少している中、シャンプーや理美容家電などの「理美容用品」の2019年の消費額は4万8744円で00年に比べて約2割増加。美容への意識が高まっていることが背景にあります。


シャンプー・リンス市場は、花王の「メリット」に代表されるメガブランドといわれる大型商品が市場を牽引する構図が続いてきました。


ところがここ最近、シャンプー・リンス市場には高価格帯の商品が相次いで導入され、店頭ではメガブランドの存在感が薄れつつあります。


高級シャンプー・リンス市場のけん引役になったのが、Ine(アイエヌイー)が手掛けるボタニストです。2015年に電子商取引で発売し、その後ドラッグストアに販路を広げて多くの女性の支持を集めています。

Ine(アイエヌイー)は、ボタニカルブランドをさらに拡充。2020年1月には、ビーガン(完全菜食主義者)向け(税別2400円)を、7月にはボタニストプレミアム(同3000円)を相次ぎ発売するなど、ニッチ市場の開拓に余念がありません。同社は、テレビCMなどは一切流しておらず、ネット中心にブランド発信していることが特徴です。


最近では、韓国のヘアケアブランド「moremo」も女性に人気です。一般的なトリートメントは髪につけて数分待って流しますが、同ブランドの「ウォータートリートメントミラクル10」は10秒で流せるのが特徴。手間をかけずにサラサラな髪を手に入れたいと考える女性ニーズをつかんでいます。


一方、大手も新規ブランドの立ち上げで対抗しています。花王は2020年、新ブランド「イネス」を発売。400グラム約3000円と高額ですが、本格的な頭皮ケアを訴求して、SNSで話題になっています。


花王によると、ヘアケア市場で、800円以上の「プレミア価格帯」の構成比は、2011年の22%から現在は半分を占めているそうです。


美容への関心が高まる中、消費者は年代、髪質、頭皮などで様々な悩みを抱えており、悩みを解決する「私だけのお気に入り」商品を求めています。


マス視点からニッチ視点へ。これからは、お客さま一人ひとりのニーズを満たす商品の提供を通して、生活者とパーソナルな関係でつながり続けることが重要な時代です。

生活者と小売の未来研究会〈Lifevaluelab.〉

小売業は、生活者の心と暮らしを豊かにする「幸せ創造業」です。未来の予測が難しいニューノーマル時代こそ、揺れ動く生活者の気持ちにしっかり寄り添い、自社の専門DNAを軸にして「顧客が求める価値」を提供していくことが生き残りの鍵を握っています。さぁ、私たちと一緒に、生活者も小売業も共に成長し幸せになる未来を研究・創造していきましょう。

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